予定が狂ってしまって、2時間も時間ができてしまったから、国立・富士見台団地のストリート・ピアノで練習しようと思ったら、いつも誰もいないのにその日に限っておにいさんのようなおじさんのような人が弾いていて、そのうち終わるだろうと聞いていたら、とても上手いというわけではないのだけれど、それでも僕よりはずっとうまくて、嫉妬心というか、こんちくしょうというかを燃えたぎらせながら聞いていたら、なかなかいい雰囲気になってきて、敵愾心を燃やしながらももやっぱり同好の士であるから声はかけないものの心の中では声をかけていた「いいですね、長いのですか?」とかなんとか。それでもちっとも終わりそうになくてなんだか二人ぼっちの演奏会というようなことになってきて、見ず知らずのおにいさんおじさんと心を通わせるようなことになっていた。こんなことがあるからストリート・ピアノっていいなと思っていた翌日に映画「蜜蜂と雷鳴」なんかを見てしまったものだから、今はピアノ・ピアノの世界になっている。