人生には時々いいなと思う人がいて

「何か自分というものが圧倒的に肯定される瞬間が来る」そうか、もう少し待ってみよう。

2020年6月2日
この人はいいな、好きだなと思える人はそういなくて、そんな人と出会えた「図書室」はうれしい本だった。人生には時々いいなと思う人がいて、これまで僕がいいなと思った人は、僕より年上のおじいさんやおっさんや若くても兄さんのような人たちだった。けれども岸さんは僕よりずっと若くてやさしくて、かっこいいひとだ。
「何かのタイミングがたくさん重なって、人は知らない街にやってきたり、友人と静かな散歩をしたり、真冬に誰もいない万博公園でいつまでも森を眺めたりすることがある。普段どれだけ荒んだ、腐った、暗い穴の底のようなところで暮らしていても、偶然が重なって、何か自分というものが圧倒的に肯定される瞬間が来る。私はそれが誰にもあると信じている。」p.170 「図書室」岸政彦著