「これで行くんだ」と

千葉さんは人生はリズムだという。千葉雅也さんの新しい本「センスの哲学」が言っているのはそんなこと、深く納得。センスがいいというのはそのリズムを如何に楽しむかということ。ロバート・ラウシェンバーグの絵を真ん中においた表紙の装丁のかっこいいこと。
反復されるものとしてのリズムは、人間が安定的に生きていくために必要なのです。p.91
「これは何を言いたいのか」「何のためなのか」と答えを求めることから離れて、リズム「だけでいい」という感覚になることがセンスの第一歩。これが本書のスタンスです。圧縮すると、次のように言えます。・センス:ものごとをリズムとして「脱意味的」に楽しむことができる。p.100
予測が外れた時にそれに振り回されないことです。というのは、大きな認識として、「物事には予測誤差が起きることもあり、そして、予測が外れても何とかなることがほとんどである」というような一種の楽観性ではないでしょうか。つまり予測誤差を一般化していて、一回の外れにいちいち驚かず、「外れというものが時にはあるな」というざっくりした予測内に収めている訳です。それと、結局大丈夫だったという経験が合わさっている。p.147
「とりあえず手持ちの技術と、自分から湧いてくる偶然性で何ができるか?」と考える。規範に従って、よりレベルの高いものをと努力するのも大事ですが、それに執着していたら人生が終わってしまいます。人生は有限です。いつかの時点で、「これで行くんだ」と決める、というか諦めるしかない。・人生の途中の段階で、完全ではない技術と、偶然性とが合わさって生じるものを、自分にできるものとして信じる。p.183