「もっと楽しく」「もっと自然に」「もっと自由に」

久しぶりの三菱一号館、上野リチ展。リチさんのデザインをひとことで言うと、ウィーンで京都から建築の勉強に来ていた上野伊三郎と恋に落ちたというから言わばウィーンと京都が仲良く出会ったことから始まるのだった。僕が好きだったのはマッチ箱のデザインで、小さなマッチ箱のデザインでもリチさんは一生懸命考える。えっと思ったのは、僕が二十歳前後の頃、リチさんはまだご存命で京都におられて、なんだ近くにいたんじゃないか、早く教えてくれていたら、お近くだから会いに行っていたのに。そうしたらリチさんから「もっと楽しく」「もっと自然に」「もっと自由に」生きなさいよって、直接教えてもらえたのに残念なことをした。そんなわけで久しぶりの三菱一号館、楽しく愉快な展覧会であったし、絵葉書もブローチもポスターもいっぱい買ったし、お天気も良かったから、テラス席でお庭を見ながらピザと赤ワインをいただいて、すっかりほろ酔になってしまった。まさに人生で大切なのは「もっと楽しく」「もっと自然に」「もっと自由に」なのだなぁと深く納得した展覧会であった。