エンジ色と黒のきっぱりとした装画も装丁もとってもよくて

そうそう、古本屋さんを巡っていると、「本当に自分の心の支えになるというか、その物語が存在するということが、自分の人生の中での救いとなるというか」そんな本に出会えるよね

2019年5月30日
下北沢のB&Bの入り口の一番目につくところに平積みになっていた。エンジ色と黒のきっぱりとした装画も装丁もとってもよくて、それに「漱石全集を買った日」という書名も断然いい。京都百万遍の古書・善行堂の店主、山本善行さんとそのお客さんの清水裕也さんの対談なのだけれど、お二人の古本道が惜しみなく語られている。2〜3年前、京都百万遍に古書・善行堂を尋ねた。引き戸をガラガラと開けたら突然ジャズが流れてきてびっくり、奥の帳場の横のターンテーブルの上にLPレコードが回っていた。こんな古本屋さんがあるんだ、さすが京都と思った。古本屋さんを巡ってこの国のあちこちの街を歩きたい。帰りの車中、本を読みつつ駅弁を食べつつ帰路につく。そろそろそんな生活がしたいのだが。
哲学者の小林康夫社会学者の大澤真幸の対談本を読んでいると、その中に「若い頃に誰でもいいから一人全集を読むといい。一人の人間の思考がどこまで到達できるのか、ということを頭と身体で実感することはとても大切で、全集を読むことでその体験ができる」というようなことが書かれていて「よし、そういうことなら誰か読んでみるか」という気になりました。p.70
古本を探すことは、どこか自分を探すようなところがあるから。自分が本当に好きなものは何か、というような。p.184
でも理屈じゃないからこそ、本当に自分の心の支えになるというか、その物語が存在するということが、自分の人生の中での救いとなるというか、それだけで安心するというか、そういうことを改めて思いましたね。p.190