刻々建ち上がっていく早送りの現場の映像と、正確にリズムを刻むちょっとアヴァンギャルドな音楽と、そして妹島さんの言葉をひたすら繰り返す、そんな映画だった。今はもう建築への興味が薄れていっているのに、どうして妹島さんの映画を見たいと思ったのだろう？ヘルメットをあみだにかぶって、ちょっと風変わりでフェミニンなスカートをふわふわさせながら、現場を駆け回る妹島さんは子供の頃見た映画「わんぱく戦争」の主人公みたいで、男でも女でもなくて、 僕たちが見慣れた大人でもなくて、 少年のようでもあって少女のようでもあって、悪ガキどもを従えて原っぱを駆け巡る女ガキ大将みたいだった。妹島さんにはいつまでも大建築家になんかなって欲しくなくて、退屈な大人にもなって欲しくなくて、そんなの飛び越えてヘルメットをあみだにかぶってひたすら現場を駆け回るチャーミングなおばぁちゃんになって欲しい！
