(しあわせな時間)

映画ハッピーアワーを見た。延々5時間17分、3部構成だ。でも何かを描くには、これくらいの時間は必要なのだと思う。90分前後の普通の映画の無理を感じた。僕たちのまわりの時間も普通の映画の無理と同じようにまわっているのかもしれない。様々な会話がかみ会ったりすれ違ったりしながら延々と続いて行く、もちろん結論なんかでないまま続いて行く、それでも主人公の女4人、そして背景にいる男3人の距離は映画が始まった時に比べて少しだけ縮まっている。もうだめだと思っても延々とでも無理をせずお互いの関係を見つめなおしていく。延々と延々と気が遠くなるけれどぶつかったり、そっぽを向いたり、また向き合い直したり、そんなことばかり続けて行く。ハッピーエンドでもなんでもない。問題は未解決のままだ、それでも人生は続いて行く、だとするならば向き合って行こうよ、たまにはみんなで温泉にでも浸かりながら。そんな映画だった。神戸の町はこうだな、六甲山のみどりはこんな風だな。阪急電車はこんな風に走るし。この映画は町の映画でもあると思う。これはやはり阪神間でなければとれない映画だと思う。疲れたら海を見て貨物船を見て、六甲山の緑の中を歩いて。時折流れるシンプルなピアノ曲にほっとする。いい映画なのかどうかは分からない。でも、この5時間余はhappy hour(しあわせな時間)とは呼べると思う。今年1本目の映画であった。
https://www.youtube.com/watch?v=XsiDTMGBrAE