「真鶴」読まなきゃだと思ってた

  • なんだかよくわからない小説だった。ずっとたゆたっているような、寂しいような、せつないような、それでもうっすらと光は射しているような。ずっと真鶴に行きたいなぁと思ってた。そのためには「真鶴」読まなきゃだと思ってた。川上さんてこういう人だよね、いつもニコニコと静かで、川上さんの言いたいこと分かるなぁなんて言うと「そうかしら、ちっとも分かってらっしゃらないわ」と言われそうだけれど。川上さんが書くのはひかり?それもうっすらとしたひかり。川上さんというのはこんなぼんやりとしたひかりをコトバにする人なんだ。
    「嘘をついて暮らしていくことに耐えられなくなった人間が、小説を読む。川上弘美の小説はそのことをじつによく示している」p.268