さすが文さんはすてきだなと思った

この年になると、老人論のようなものに接する事も多い。でもあまりピンと来るようなものに出会う事は少なかった。でもここに書かれていた幸田文さんの「老い」に、さすが文さんだと思った。
「季節は常に先へ先へと変わっていく。新しいものへと姿を変える。季節は老いを見せることがない、というのです。季節とともに生きていれば、自分も自然に前向きになっている。身体が老化すれば心も屈して万事消極的になりがちだが、自分は季節に引っ張られているから過去に沈没せずに生きていられるのだ、との述懐には虚をつくような説得力と自負が感じられます。これは内外の諸賢の老人論の中には容易に見いだす事のできない独特の見解ではないでしょうか。四季の変化に恵まれた国でなければ生まれ難い、そしてその中で育って来た文化と感受性を抜きにしては考えることのできない、日本人らしい老いへの接し方だと言えましょう。」で、もっとすごいのは次の言葉です「人は季節を語ります、が季節もその人をあばきます」文さんは季節に正面から向き合っていたのです。