精神の位などと言う言葉

水村さん、読んだことがない。読みたいと思った。「精神の位が低くなってはいけないと思って」書いておられるのだから。精神の位などと言う言葉があったのだ。良い時代を生きたのかもしれないという母のことを知るためにも。
「なぜ人生美しく終わらないんでしょうね」。 『母の遺産ー新聞小説』を刊行した水村早苗は、そう言って笑った。・・・・本書は、日本の近代から現代へと続く母娘三代記でもある。祖母は尾崎紅葉の「金色夜叉」を読んで駆け落ち。母紀子の原動力は、野心と西洋へのあこがれだ。「紀子は良い時代の象徴かもしれません。私たち娘世代は、目薬差しながらパソコンをにらんで・・・・不要な情報をカットするのにエネルギーを使っている」・・・・小説を読んで精神の位が低くなってはいけないと思って、ずっと模索しています。
終末医療の悩み 長編に 水村早苗「母の遺産」刊行 2012年5月8日朝日新聞夕刊より