僕たちが失ったものばかりだ

  • なんだか元気になる本だった。この元気のもとはなんだろう?自主独立の気風、何世代何世代もの間に流れる時間の堆積、田舎の草木や青い空、街の品格などなど。僕たちが失ったものばかりだ。辛うじて生き残っているのは本かな?モンテレッジォの人々が村から村へと届け続けた本たち。あらゆるものが失われつつある今、僕たちは辛うじて本という文化にぶら下がって生きている。それにしてもイタリアでもほとんど知られていなかったモンテレッジォの本屋の物語を丹念に根気よく掘り起こしてくれた内田洋子さんすごい。本文に挟まれた写真がどれもいい。