自分が楽しく生き続けているかどうかが

ウディ・アレンの言葉がここに載るのは初めてかもしれない。彼の言うことも、作風も、ジャズクラブでのたたずまいも、だぶだぶのコートも、めがねもみんないいなと思うけれど、でもそれらみんな含めての基本は「自分が楽しく生き続けているかどうかが大事」ということだろうなと思う。
「 何年かに一本新作を作って、それでものすごく脚光を浴びるなんていやなんだ。 ウディ・アレン
 低予算だがほぼ年1本のペースで、自由に黙々と映画を撮り続けてきた映画監督。彼にとって作品はつねに途上にあるもの。「どれかが特別扱いされるのはいやなんだ」と言う。外からの批評よりも、自分が楽しく撮り続けているかどうかが大事。人の一生もそんなふうでありえれば。」全自作を語る「ウディ・オン・アレン」(S・ビョークマン編著、大森さわこ訳、1995年)から。(折々のことば・鷲田清一 朝日新聞2017年3月24日朝刊)