「古き良き未来」へ

善光寺をお参りしたあと、縄文人のカフェのような図書館のような「MAZE KOZE」を訪ねてみた。あいにく彼はいなかったけれど、縄文人はかつて国立にいて、ぼくの事務所を造ってくれた彫刻家だ。だから何でも自分で作ってしまうから郷里の長野に帰っても、やっぱりセルフ・ビルドでまちをつくり始めている。そんな彼のセルフ・ビルドによるまちのリノベーションは瞬く間に善光寺さんの参道に沿って野火のように広がって、今やその数は100軒にも達しているそうだ。参道そのものの町並みづくりは官主導だけれも、固過ぎもせず、柔らか過ぎもせず、とてもうまい解決策を見いだしていて感心したのだけれど、その参道を脇から固めているのが縄文人をはじめとするセルフ・ビルダーたちで、その官民の異なる二つの方法の共存がとってもいい味を出している。その彼らのやり方は「古き良き未来地図」という小冊子にまとめられていて、これをもって散歩をしたのだけれど、ほんとうにうまい所をついているなぁ。それもこれも、善光寺という長くて大きな歴史をもういちど磨き上げることができたからだと思う。ようやく歴史との付き合い方がみんなの身につき始めているのかな。オリンピックの後遺症に長く苦しんだ長野だったけれど「古き良き未来」への舵を切った長野。オリンピックに向けてひた走る東京だけれど、オリンピック後のことも少しは考えなくちゃだと思う。