自信なげにではあるが思う夜

いよいよ演奏もはじまって、この二人の音楽家も素晴らしくて、飯田橋のホテルのバーで偶然隣り合わせて以来デュオを組んでいるというお話もとても大人だなぁと思う粋な話だった。この日二人が弾いたのは、主にジュリーロンドンの持ち歌で、ミスティーだの星に願いをだの、この小さな家にふさわしい、秋の夕べらしい曲が披露されて、その合間に突然サプライズのハッピーバースデートゥーユーで偶然居合わせた参加者の誕生日を祝ったり、いよいよ場はなんともいい雰囲気になっていった。
都心ではもう数少なくなってしまった木造のこんな小さな名建築がいつまでもみんなに愛されて、ときどきこんな会が催されたら、もう誰も壊さないと思うようになる時代が来ればいいなぁなどと自信なげにではあるが、思う夜であった。