ほっこり月が浮かんでいるように

中学生の頃『なんでこんなに大きな都市なのに景色がないんだろう』と東京のまちをすごく寂しく思ったと言う戸恒さん。今日あなたがどんな風な思いで東京スカイツリーの照明をデザインしたかを読んで、ひょっとしてようやく、東京のまちに風景がもういちど生まれるかもしれないと思いました。戸恒さん期待しています。

「そのときに全部をドカーンと照らして、いわゆる『俺いるぜー』みたいな(笑)、そういう光と影のコントラストが強い見せ方よりも、もっと日本の情緒っぽく、ほっこり月が浮かんでいるように、ふわって優しく浮かんでいるような感じであってほしいなっておもったんです」
「富士山って、東京から見ると決して近い存在ではないんです。遠くから見守ってくれている感じがあって。スカイツリーも多分、この現代的な風景のなかで、そんな風に見守っていてくれる存在になるんじゃないかと。やっぱり浮かんでいる感じ。」
「いろいろ調べていくなかで見えてきたのは、人間模様なんです。やっぱり町民文化の代表ですからね、江戸文化っていうのは。その“人間らしさ”っていうのが東京らしさをつくっている。地方出身の方が非常に多い街なので、あんまり独自性っていうのはなくて、むしろ人間のエネルギーのぶつかり合い。全国から集まってきて『われ先』っていう戦いみたいなね。そうやって高め合っていくにぎやかな雰囲気っていうのが、東京らしさをつくっている。同時に、流行の発信源でもあります。江戸時代も、美人画とか歌舞伎役者とかが描かれたファッション雑誌のはしりみたいなものがあった。そのころから、東京っていうのは、洗練された美の発信地という性質を持っていたわけです」
http://openers.jp/culture/lounge_interview/skytree_20120520.html