ポ−ル・オースターはいいやつだと思う

美しい本だと思う。表紙は1954年のニューヨーク、ワシントン・スクウェア、撮ったのはアンドレ・ケルテス。タイトルは「 冬の日誌」1ページ目「 何といっても時間は終わりに近づいている。・・・・・・君はもう若くない。」から始まる。表紙とタイトルと1頁で既に読むべき本だと思う、もう若くない僕たちにとっては。こんなことが書いてある「 厳しい禁煙法ができた事で、世界はたぶんよりよい場になったのだろうが、何かが失われてしまったのであり、それが何であれ(ある種の気楽さ? 人間の弱さに対する寛容? 社交的な空気? 禁欲的苦悶を知らぬ呑気さ?)それがなくなった事を君は寂しく思う。」これらが失われた事を寂しく思うポ−ル・オースターはいいやつだと思う。