自分の気持ちを大事にしなさい

もう20年近く前、しまおまほさんのおとうさん島尾伸三さんの個展が新宿の路地裏であった。そんな伸三さんと折からの大雪で来訪者のいないギャラリーで石油ストーブに手をかざしながらお話ししたことがある。その時からこのご家族のことを勝手に親しく思ってきた。そうしたらこの間、まほさんが伸三さんのことを書いておられるコラムを読んで、あぁいいなやっぱりこのご家族はと思った。伸三さんもまほさんもずっと本当の気持ちをいちばん大事にしてこられたのだと思った。たった一度会っただけなのに、いつまでもずっと身近に感じることができる人というのがいるものなのだなぁと思った。
「だれに何と言われても、しがらみは一切取り払って、自分の気持ちを大事にしなさいーそんな父の思いがありがたかった」
「父にはまた、毎日のように、「日記をつけなさい」と言われてきた。「本当の気持ちを書きなさい。いつか絶対に役に立つ」と」
2016年7月7日朝日新聞夕刊「エッセイストしまおまほさん 父の言葉」から
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12447475.html?rm=150