風景を作る人になってみると

先週末は石積み学校の日だった。武蔵五日市にある生活クラブ協同村のミカン畑の石垣を修復しようという試みだ。協同村の段々畑の石垣も老朽化して崩れかかっているところが目につくようになってきた。どうにかしなきゃだなぁと考えあぐねている時に東京工業大学の真田純子先生に出会った。真田先生は景観工学が専門なのだけれど、景観を大切にしなきゃだ、風景を守らなきゃだと言っても、今や伝統的な景観を作ったり修復したりする技術を受け継ぐ職人達はいなくなってしまって、壊れていく風景をただ指をくわえて見ているだけじゃだめ、それなら自分たちでそんな技術を身につけようよと、石積みの研究とその実践に取り組まれているのだった。で、昨年研究室を訪ねて、どうしましょうとご相談したら、じゃ協同村で石積み学校をやりましょうよということになって、それで今年は2回目の石積み学校が開かれたのだった。多くの参加者は去年に引き続き2回目の参加だということで、多少勘が働くのか、やはり去年より早く美しく石を積むことができた。協同村の石垣をすべてを修復するにはあと10年くらいかかるだろう。下からよいしょよいしょと石を持ち上げて、石の形をにらみながら少しづつ積み上げていって、後ろにぐり石を詰めてとすべて手作業だから、ふらふらへろへろになってしまう。でも少しづつ少しづつ蛇のように伸びていく積み終わった石垣を見るのはなんともうれしいものだ。風景とか、景観とかってたいせつなのはみんなわかっているのだけれど、現代の社会の中では生き延びていくのはなかなか大変だ。でもこうやって短時間であっても自分の手で風景を作る人になってみると、今まで見ていた何げない風景がとても愛おしく思えてくるのだ。日が暮れて夜、焚き火を囲んでのいっぱいはとても美味しかった。みなさん、また来年お会いしましょう!

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