「 おい 『皇帝』かけてくれ」

「 おい 『皇帝』かけてくれ」小田さん最後までかっこよかったのだなぁ

2012年1月21日
学生の頃、狸小路名曲喫茶なる所のソファーに身を沈めて、美しい世界があるのだなぁ、世界中の音楽を聴き尽くしたいなぁなどと、今覚えば途方もない事を思っていた。名曲喫茶などというところにも行かなくなり、レコードやCDも買い集めなくなり、モーツァルトとベートーベン、お前はどっちなんだ、などと問い詰める事もなくなり、でもそんな風にしている間に、なんだか、身も心もくたびれてきているのだなぁ 
そんなときに、身近な人たちがぽつぽつ逝くようになり、武満徹は逝くとき、マタイ受難曲をじっと聞いていたとか、小田実の最期を描いたドキュメンタリーなかで、「 おい 『皇帝』かけてくれ」などと言っているなどを見たりして、世界中の音楽を、などとはもう思わなくなったけれど、やっぱり最期はベッドの上で音楽に包まれてなどと思っていて、そんな折り、ようやくつながったottavaと言う放送局は、もういちど、あの名曲喫茶に通ったころの、音楽さへあればということを甦らせてくれた