十分ほど見たら家に帰ってお風呂に入る

まぁるく山々に囲まれた京都、3姉妹のいる家族のおっとりとしたやわらかな暮らしが描かれる、綿矢りさ版「細雪」。最近京都の町を歩くと、世界中からのたくさんのお客さんであふれてる。とかくぎくしゃくすることの多い世界、山々に囲まれてまぁるくやわらかく暮らすという事がまだ可能なんだという事が世界中の人たちに伝わっているのかもしれない。五山の送り火だって、京都の人たちの楽しみ方はおっとりしてはる。装幀も楽しい。
「 地元の人間も夏の風物詩なのでとりあえず見に行くが、燃えているのをじっと見て、「火ィ点けるひとが間違えて”大”を”犬”にせえへんかな」などと言って、十分ほど見たら家に帰ってお風呂に入る」 p76