とても明快で気持ちがいい

沈黙の大切さや意味について語られることは多いけれど、でもこのヨゼフ・ピーパーの言葉はとても明快で気持ちがいい。

沈黙している人だけが聴いているのであって、口を閉じない者には何も聞こえません。ヨゼフ・ピーパー
沈黙とは口をつぐむことではなく、「口を開けばとぎれてしまうような深い心の通いあい」のことだとドイツの哲学者は言う。人を懐深く受け入れるには、鎧(よろい)を脱いでいちど自分を緩める必要がある。だがそれは、事のなりゆきに心置きなく身を委ねられる「信頼」なしには難しい。まずは日頃よりそういう関係を周囲との間で育んでおかねば。「余暇と祝祭」(稲垣良典訳)から。(鷲田清一)2016年12月21日朝日新聞朝刊「 折々の言葉から」