もう果たせない夢なのだが

ずっと長い間、熊野のことなど縁がなかったのだけれど、それは南方熊楠にはじまって、それでもまだそれほどでもなかったのだけれど、次に現れたのは、西村伊作で、まぁなんという人だろうなどと思い、より一層熊野が近くなって、西村の縁で「許されざる者」を読んだら、ここには、槙隆光だの水野夫人だの、千春さんだの、若林勉くんなどがいて、それは気持ちのいい人たちで、新宮であるとか森宮であるとか言うところが憧れの地になってしまった。もうとっくの昔に無くなってしまった西村がつくった太平洋食堂のテラスに座って、南の国の強い光の中、千春さんの焼くビスケットとミルクティーを頂きながらぼっーとするのはもう果たせない夢なのだが。それしても世界にはたとえ本の中とはいえ、こんな世界が残っているのだ。なんともうれしいことだ。
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