最後の最後にようやくたどりついた時空

「マチネの終わりに」を読みました。著者の平野啓一郎さんは「日々心配ばかりの世界の中で何かほっとする小説を書きたかった」とおっしゃっていました。現代の世界のあらゆる諸相に翻弄されてその密度におしつぶされそうになるのですが、最後の最後にようやくたどりついたシンとした時空はこれまで経験したことのない種類のものでした。ここ数年、ようやく小説っていいものだなぁと思っています。平野さん、もっともっと読みたくなりました。