広津さんずっと読みたかったんです

今日は松陰神社で遅い昼ご飯を食べて、古書ノストスに寄ったら、とっても美しい本があるなぁと手に取ったら、広津さんの本で、広津さんずっと読みたかったんですと、迷わず買ってしまった。それにしてもむかしの本は美しい、この藍地に鬱金色の題字のなんときりりとしていること。で、電車の中で読んでいたら、初めっから「小森は何十年か前のこの國の文化人が狙った歐化主義の片鱗が窺えるやうな氣がして、何か心樂しかった。このままこの趣味で進んでいけば、今日とは少し違ったものがこの國に開けたかも知れないのに、せっかく吸収しかけたものを途中から一切吐き捨てて、それに逆行して行った昭和年代といふものを彼は今更のやうに考えた」なんて言うのがあって、この短編にこれから描かれる風景がとても楽しみになった。