上遠野徹さんはずっと北国らしい建築を模索してこられた建築家だ。札幌郊外に上遠野さんの自宅と事務所を訪ねた。地域らしさや風土は言葉としてよく語られるけれど、日本国中もうどこにも風土や地域らしさが感じられる建築が見られなくなってしまった。そんな中で沖縄と北海道にだけはまだかろうじて風土という言葉が建築の中に生きているように思う。上遠野さんの名前は聞いていたけれどその建物を見るのは初めてだった。東京に風土という言葉を探してももう見つからないだろうけれど、とにかく逃げずに地域にこだわり続けることで見えてくる風景があるに違いないということを今回上遠野さんの建築を見ることから学んだ。