そして散歩するように本を書く

松本に行きたい!小川糸さんは散歩するように旅をする、ラトビアにベルリンに松本に、そして散歩するように本を書く。
「それにしても、松本ってなんていい町なんだろう。以前行ったのは、「ファミリーツリー」の取材の時。あの時は冬だった。その度に思うけれど、女鳥羽川にかかる一ッ橋から見る景色が好きだ。草の間をゆったり流れる女鳥羽川と、その向こうに広がる山並みは、何度見てもホッとする。川はこうあって欲しい、と思う理想的な川が女鳥羽川だ。しかも、その川にかかる橋には、幸橋や太鼓橋など、いちいち洒落た名前がつけられている。川沿いには、古くて美しい建物がまだまだたくさん残されていて、歩いているだけで穏やかな気分になる。大きすぎず小さすぎない町の規模も、人々に安らぎをもたらす理由かもしれない。」『卵を買いに』小川糸著 p.223