須賀さんのなんと素敵なこと!

白いブラウスを着た




2018年2月7日
孤独というものはわかりにくいものだから、だから余計に恐れるのだけれど、須賀さんが言うと、孤独というものが須賀さんみたいにふくよかで笑みさへ湛えているもののように思えてしまう。抽象的でよくわからないことでも、ある人柄を通してみるとすとんと胸に落ちてしまうのだから、さすが須賀さんなのだなぁと思う。対してこの松山さんも 「孤独とは恋うること」なんて、おぉーっと思うことをさらっと言ってしまうものだから、今回の折々の言葉は、とってもスリリングだ。
 私たちはすこしずつ、孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知った(須賀敦子
 教会の片隅で、司祭も信徒もなく人々が自由に集う共同体を夢見て発足したイタリア・ミラノの小さな書店。その消息を綴(つづ)る作家は、そこを行き交う人々の交友を支えたのは、別々の途(みち)を歩むそれぞれの孤独だったとふり返る。随想『コルシア書店の仲間たち』から。評論家の松山巖は文庫版の「解説」で、「孤独とは他人を全身で認め、恋うること」と、返歌のように記す。(鷲田清一
2018年2月6日朝日新聞朝刊 折々の言葉から