私は私のままのバアさんになる

お、これは必読書だと思ったけれど、初めに読んだ時には、古今東西の偉人、哲人の死生観や老いについてが、これでもかこれでもかと出て来てしまい、結局うまく整理できないままになってしまった。でもたくさんついた折り目のページを再読しているうちに、少し整理されてきて、最終的にはあまりにシンプルな佐野洋子さんのようなのがいいなということになった。結局、僕のままでジイさんになるということで、そうかこれしかないなと深く納得したのだった。佐野さんが余命宣告を受けた帰りにジャガーのディーラーに寄ってジャガー購入の契約をして帰ってきたと言う話が好きで佐野さん流を採用するとすると、ツー・シーターのブリティッシュ・グリーンのジャガーで疾駆するおじいさんというイメージが出てくるけれど、著名作家でもない僕にはちょっと無理があるのだった。
「要するにその人以外のバァさんなどにはなれないのである。私は私のままのバアさんになる。」p.258
老年の読書 前田速夫著