でもちっとも後悔なんかしていません

田舎の大学生だった僕が偶然通りかかった八ヶ岳山麓清泉寮で皿洗い募集の張り紙を見て、新しい登山靴を履いていたためできてしまった足の豆に、もうこれ以上歩けないここでアルバイトしようと思って以来、僕の人生は意外な方向に転がって行くことになったのでした。当時KEEP協会でアルバイトをしていた東京の私学の学生たちが田舎の大学生だった僕には衝撃的なほど眩しかったのです。特に彼らが鼻歌のように歌っていたのははっぴーえんどで、なんておしゃれなんだろうと度肝を抜かれたのを覚えています。その上、朝早く起きて皿洗いに出かける彼らが目覚まし時計代わりに大音量で鳴らすのは、Here comes the sunで、それ以来、ハッピーエンド聞かなきゃ、ビートルズ聞かなきゃって焦り狂った僕でした。だって当時僕たちが愛唱していたのは「都ぞ弥生」や「札幌農学校蝦夷ケ島、熊が棲む〜〜〜」なんて歌で、それも前口上を叫んだあと踊り狂って歌うのでしたから。でもそのお陰でぼくはアルバイト仲間の中で一躍人気者になりました。横山さんって熊の棲むところから来ているらしいよって。あの時僕の足に豆ができていなかったなら、全く違う人生になっていたと思います。でもちっとも後悔なんかしていません。人生に無駄なことなどひとつもないのですから!
https://www.youtube.com/watch?v=DpnSNRvG6rw

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