周りをかこむ草木が風になびいている姿を僕は

新国立競技場を見た。初めてだ。様々な議論があった頃から、にっくきオリンピック、にっくき新国立競技場の姿勢を崩さずに来た、でもなぜか悪くないと思った。この頼りなさ、吹けば飛ぶような軽さ、周りをぐるりと取り囲む草木が風になびいている。隈さんは「消える建築」といったようなことを言っていたような気がする。まさに消え行く建築かもしれない。あちこちからボコボコにされてもかろうじて立ち続ける東京オリンピックを隈さんは予感していたのかもしれない、少なくとも周りを睥睨するような建築でなくてよかった。隈さんは消えゆくオリンピック、消えゆく建築を意識しないまでも無意識にでも見ていたのかもしれない。東京オリンピック以後、廃墟になった新国立競技場、周りをかこむ草木が風になびいている姿を僕は美しいと思うだろう。

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