今こそ心静かに眺め、熟考する視点場としての

新国立競技場、けんけんがくがくは見聞きしてきたけれど現物を見るのは初めてだった。いろいろなことが腑に落ちた。やはり現場を見なきゃだと思った。そしてもう一ついいものを見ることができた。パビリオントウキョウ2021。著名アーティストのオブジェが都内各所に展示されている。偶然通りかかったのは藤森照信さんの茶室「五庵」だった。藤森さんの茶室が隈さんの新国立競技場 をじっと見つめている。新国立競技場についてもオリンピックについても様々な議論があるけれど、取りあえあず一歩下がって、お茶でも立てながら静かに眺めてみようよ、藤森さんはそう言っているようなのだ。縄文人の目を通して見る藤森さん、茶の湯の作法を通して見る藤森さん、藤森さんの目に東京オリンピックは今どんなふうに見えているのだろう。ふと、むかし景観論の教科書で習った視点場という言葉を思い出した。混乱のるつぼに陥ってしまった東京オリンピックを、新国立競技場を、今こそ心静かに眺め、熟考する視点場としての茶室を作った藤森さん、えらいっ!と思った。

 

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