つかえるべき主人がこんな所にいたとは

このところ少し頭をかかえることが多い、でも時々顔を出すアランおじさんは優しくも的確に行き先を示してくれる。

2011年12月16日 
清瀬、F邸。気持ちのいい小春日和、こんな日の現場にすぐる幸福はない。木造伝統工法の小さな家がまちかどに降り立って、そこまでは建築家Nの仕事。そのあとを引き継いで、ちょこんと置かれただけのこの家が、この場所に根を生やすように、ご近所さまへの挨拶のカタチ、そんな役割がわれわれの仕事。
シラカシの生け垣、杉丸太、青竹の胴縁がきりりときもちいい。足下には、100角の黒の小舗石が整然と並ぶ。何でもない素材、技法であるのに。帰りの電車の中、このところ持ち歩いているアランの幸福論『人間は、物以外にはつかえる主人をもたず、自分の仕事の跡を目でとらえ、そしてそれを守っていくことができれば、幸福なのだ。物の教訓と言うものはいつでも快く受け入れられるものだ』48.幸福な農夫
なるほど、シラカシの生け垣と黒の小舗石という物。つかえるべき主人がこんな所にいたとは。

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