多くは心で暮らしている謂ではないかと思う

【7日間ブックカバーチャレンジ 07】 
『庭をつくる人』 著:室生犀星 
この本を本屋さんで見つけた時、やったぁと思った。こんな本があるんだ。幾つかの随筆や評論が入っているから、庭を作る人のことだけが書かれているわけでは無い、でも表題は「庭をつくる人」なのだから、庭をつくる人ってこうだよな、こうありたいなってことがたくさん書いてある。漱石荷風、鴎外、みんな庭のことを書いている、それに犀星が加わったのだからこんなに心強いことは無い。きっとこの辺りにこれからのこの国の庭の姿が埋もれているに違い無い。 
「何も欲しいものもなく、在るもので我慢をし、多くは心で暮らしている謂ではないかと思う。貧にして世に逆流せず、また心を乱さざるの徒を言うのであらう。世の一切を心に沈め置く大量の謂ではないか。・・・・・赤貧ということは文字通りのものでなくて、心の上の合言葉に過ぎない。再び立てないような貧乏を言ふのではなく、なほその中に王侯をしのぐ風雅を徹した気もちを言うのであろう。僕のごときはこんな赤貧ならば甘んじて受ける覚悟を持っているし、現に営みつつもいるのである。 」

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