それはささやかな勝利の瞬間

なんかいいなと思うのだった。この本「優雅な読書が最高の復習である」は、ルヴィン・トムキンズの「 優雅な生活が最高の復習である」のもじりである。著者の山崎まどかという人は、女子文化を中心に書くコラムリストであり、前著「ブック・イン・ピンク おしゃれ古本ガイド」の帯には「乙女は読書でおしゃれする」とある。だから僕のようなおじさんが読むにはかなり勇気がいる。でもいいのである、いいものはいいのだ。書評本であるからいろんな本が選ばれている、でもそこで選ばれている本 のほとんどが聞いたこともないような、そして多分今後も読まないだろう本たちだ。それでもまどかさんは読書というもの、本というものの醍醐味を見事にいい当ててくれている。いわく「ジェーン・オースティンの読書会でまさに読む女たちについて書いた作家カレン・ジョイス・ファウラーが「「読む女」たちのポートレート集」に序文を寄せている。彼女はそこで、画の中の女たちが手にしている、本を読む女たちがめったに得られない、だからこそ貴重な、一種の勝利の瞬間について書いている。・・・・・・・この本に収録された読む女たちの画や写真は、本を読むという小さなアクションが意味する豊かで複雑で、静かな世界へと読者を導く、さまざまなささやかな勝利の瞬間を見せてくれる。」p.139 本を読むこと、それはささやかな勝利の瞬間。卓見であると思う。こんな読み手がいたんだ、そしてこんなに面白い本についての書き手がいたんだ。そこが嬉しい。鬱屈しそうな今のこの日本で、こんなに自由にのびのびと本とともに生きている人がいること、そこがうれしい。

f:id:machidesign:20190429154340j:plain

f:id:machidesign:20190429154305j:plain