そんなことが言えるようになるためには

最近はもうほとんど諦めていて見て見ぬ振りをしている。見て見ぬ振りをするなんて、なんということだと思うけれど。

2014年10月24日
黒川温泉は有名になりすぎて、でもやっぱり良さそうだったから来てみたら、やっぱりとてもよくて、ずっとこのままであり続けて欲しいなと思った。長い間「アメニティ」ってどういうことなんだろうと考えてきたのだけれど、どうも黒川温泉というのは「アメニティ」という言葉で語れるような所だった。山の中の小さな温泉地がひたすらやってきたことはただ木を植えるということで、「 こんな山の中なのにまだ木を植え続けていったいどうするの?」という批判も猛烈にあったらしいのだけれど、それでも負けずに植え続けていたら、今ようやくしっとりとした黒川温泉ができたという話が好きだった。まち、特に多摩ニュータウンに住んでいると、多摩ニュータウンは比較的みどりが豊かなものだから、「 これ以上木が多くてどうするのとか」「 もう木の話はいいよって」どこでもかしこでも言われ続けて、でも、「いや木がやっぱり大事なんです」なんていうことを言い続けるのは勇気がいることで、今ではもう、じっと黙りこんでいることにしているのだけれど、黒川温泉はあんなに山の中なのに「木が大事なんだ」と言い続けてきたということに勇気づけられてきたにもかかわらず、果たしてこのまちでまた「木が大事です」などと言う勇気が持つことができたかと言うと、そんなことはなくて、そんなことが言えるようになるためにはもう数回黒川温泉のお湯に浸からなければならないだろうなぁと思う。