「希望」なんて、なくったっていいー

この間、現場に井戸のことを調べに行って、帰りに下北沢のB&Bに寄った。この本屋さんの棚は本当によくて、棚を見て歩いては今度これを読もうとメモはするのだけれど、これまでメモをした本を読むことはなかった。それで気がついたのだけれど出会った本は、その場で即断、買ってしまわなければならないのだと、ようやくそんなことに気がついた。買ってしまったらすぐに読みたくなるもので、ここはBook &Beerで、まさにビールを飲みながら本を読むところなのだけれど、今までそんなことをしている人を見たことがない。そういう僕もすぐに酔ってしまうから、本の上にビールをこぼしてしまいそうで、読みながらなんて怖くて飲めない。でもこの間はどうしてもここでビールを飲みたかったから決行をした。読んだのは、最近僕が密かにかっこいい人だなぁと思っている人が、保坂和志さんはいいよ、いいよって言っているから、だから真似して保坂さんを少しばかり読んでいるのだけれど、まだ一体どこがいいんだろうと戸惑っている。そんな訳だから気になったのが、保坂さんの「途方に暮れて、人生論」で、「希望」なんて、なくったっていいーと言い切っているところにうぉーと思ってしまった。その中の「生きにくさ」という幸福という章を読んでいたのだけれど、なんだか涙が溢れてしようがなかった。多分それはB&Bという本屋さんのせいで、ビールのせいでもあって、そして保坂さんのせいでもあって、でもやっぱり保坂さんがここに書いている「あたし生まれる時間を間違った」という平安朝文学を専攻するために大学院に通っている女性のせいなのだろうなぁと思った。