いい映画ってなんだろう?

この映画を見て4年が経つが、今だってこのラストシーンが身にしみる。

2014年10月3日
リスボンに誘われて」」を見た。出てくる俳優たちの静かなこと。主人公の老哲学教師がなんともよくて、年格好も同じようなものだから、ひどく共感してしまって、ただじっとそばにいて時間を過ごしていたかった。いろんなことを語りかけてくる映画だったけれど、小さな1冊の本の意味、それもきわめて私的な100部程しか印刷されなかった自費出版と言われるような本の持つ重さ。リスボンの町並みやファドが低く流れるのだけれど、それらも一層映画を深くしている。それにしてもポルトガルの現代史がこんな風だったとは。ぼくたちなりに大騒ぎしていた1970年代はじめ、ポルトガルの青年たちがこんなだったなんて知らなかった。いつかリスボンに行こう、ファドを聞きながら飲んだくれていたいなんていう軽卒を恥じた。ライムントが発とうとするリスボンの駅での最後のマリアナのひとことの穏やかなこと。いい映画ってなんだろう?、これは紛れもなく上質な映画のひとつだ。
https://www.youtube.com/watch?v=cd1mzrKQdyI