わかりかけてきたような

68歳だ。ようやくやっと自分というものが、わかりかけてきたような、だからなんかうれしいと思うことが多くなってきた。でも「ヘンリ・ライクロフトの私記」を老女とともに読む山田さんはまだまだはるか向こうにいる、人生というのはなかなか奥深いものなのだと思う。

2015年4月19日
1921年に二十の岡崎みち子さんはいま八十七歳。まだどこかで元気に暮らしていればいいと思う。私はその八十七歳の老女とともに「ヘンリ・ライクロフトの私記」を読み返す。彼女がうかべる微笑を想像すると、私の口もともほころびてくる。自分の人生は終わった、と感じることはすこしさびしく、そしてなんとうれしいことだろう。なにか元気のようなものまで湧いてくる。やっと自分というものが、わかりはじめるからだろうか。」