この顛末を見ていて欲しかった

久しぶりに「野生の思考」を本棚から出してみて、改めて美しい本だなぁと思いました。 結局、築地市場問題は何もわからないまま、見えないまま終息に向かおうとしています。レヴィ・ストロースさん、もう少し生きていてこの顛末を見ていて欲しかったです。

1016年12月27日
今月の「100分で名著」はレヴィ・ストロースの「野生の思考」だった。以前「ブリコラージュ」と言う言葉に出会ったとき、あっ、これだと大騒ぎして、だったら「野生の思考」を読まなくてはということで、読み始めたのであるが、この本は野生の三色スミレが描かれた装丁がとってもすてきで、なにごともカタチからしか入れない僕は意気揚々と読み始めたのであるがあえなく撃沈、チンプンカンプンであった。それ以来レヴィ・ストロースはもういいやと思っていたのだけれど、それでもやっぱり気になるからついついテレビのチャンネルを回していた。で最終回のきのう、レヴィ・ストロースが日本の文化にひどく興味というか敬意を持っていたことを知って驚いた。レヴィ・ストロースと言うと、ブラジルだの熱帯だのということに興味を持っていた人だと思ったのだけれど彼はひどく日本という国が気になっていたのだ。それもこれまで僕たちが盛んに議論してきた「里山」だの「築地市場」だのということを「自然の人間化」と言う言葉で見事に読み解いているのだった。世界には本当にえらい人がいるのだなぁと思う。これだけ「築地市場」のことが毎日のようにメディアを賑わせていながら、誰が、どの新聞が、レヴィ・ストロースは「築地市場は野生の思考の拠点だ」と言っていますよという事を教えてくれただろうか。そんなこと人に頼ることではないか。そんな訳でもう完全に挫折していたレヴィ・ストロースにもういちど挑戦する機会を与えてくれた今月の「100分で名著」であった。