これからの10年の事がちょっとだけ

いち日、古本屋のおじさんをやっていて気がついた。古本屋のおじさんは いち日 にしてならずなのだと。毎日毎日少しづつ上から下から丁寧に一冊の本を眺めまわして、もうこれはいいかなと、見知らぬ誰かに手渡してもいいのかなと熟考して。そんなことを半年ほど繰り返して次の一箱古本市用の箱がいっぱいになる。そんなことを10年ほど繰り返して、手元に本箱ひとつ程度の本が残り、それでようやく人生おしまいというような、古本屋のおじさんというのはそんな射程の長い老後の過ごし方なのだなと、これからの10年の事がちょっとだけ見えてきた雨のいち日だった。