それでも小さな一歩であることに違いはないと思った

ずっと声を挙げることができなかった。まわりが熱くなればなるほど、冷静になって行く自分がいた。太鼓が響けば、リズムが聞こえてくれば、誰よりも先にどんなところでも踊り出してしまう人なのに。こんな所でシラっとしているなんていやな奴だと自分で自分に思った。たいせつなこと程、小さな声で言わないとだ、などと聞いた風なことを思っていた。これでは負ける、冷や水を浴びせかけるようなことを思った。僕たちはあまりにも情けない相手に向き合っているうちに、ひょっとしてやっぱり情けない人になりそうなのか、そんなことをちらと思った。それでもSEALDsなど若い人たちの言葉にはほんとうのものを感じた。こんな気持ちを確認しにきたはずではなかったのに。それでもそれでも小さな一歩であることに違いはないと思った。