そんな傍役たちが好ましかった

今回の旅行の終着駅は文字通り門司港だった。ここにもずっと来たかったのだけれど、ちょっと複雑な気持ちになった。近代化遺産の歴史を大切にしようという先駆的な試みだったと思うのだが。それでもほっとしたのは、打ち捨てられたように残るなんでもない古いレンガの壁であり、今でも働き続ける機能主義建築だった。歴史の表舞台に建った主役たちではないそんな傍役たちが好ましかった。荘子のいうところの無用の用、役に立たないものこそ。門司で荘子に出会うとは思わなかった。