ようやくとうとう

酒場など一切近づかなかった人生だったけれど、この10年ほど様子が違う。はじまりは失われた20年のはじまりの時代だったけれど、ようやくとうとう、この新しくてピカピカの団地のまちにも、味わい深い酒場ができて。60もずいぶん過ぎて、軽口がたたき合えるギャルソンたちと、腕のいいシェフがいて、顔見知りのお客たちがいるお気に入りの酒場ができた。苦しさから逃れるための酒がようやく美酒にかわろうとしている。まちも人生も時間がかかるなぁ。