諦念を微笑みにかえて

吉田さんをはじめて読んだのは、高校生の頃だったと思う、50年近く経って吉田さん「諦念を微笑みにかえろ」って、「大丈夫。芸術は、絶対に死なないよ」っ言う。いつまでたっても吉田さんは吉田さんだなぁ。
「戦争で多くを失い、妻にも先立たれた。悲嘆多き人生に寄り添い、死のその日までペンを握らせたのは、長い歩みの果てにたどりついた悠々たる楽観の境地だった。戦争や人災を繰り返すのも人間ならば、芸術という美しき精神の結晶を生み出すのもまた人間。諦念を微笑みにかえて、人間というどうしようもない存在をまるごと肯定した。
『音楽の世界はもうダメだという人がいるけれど、音楽はいったい何年の年月を生き延びてきたの。大丈夫。芸術は、絶対に死なないよ』
惜別・音楽評論家 吉田秀和さん(2012年7月14日朝日新聞夕刊)より
http://www.youtube.com/watch?v=aQ7rqC23LOE