そんなことがいちばん好きらしいのだから

未だに若い人たちに何を話していいのか分からない、何を伝えたらいいのか分からない。学期も終わりに近い頃、このごろは、僕が40年ほど見てきた風景や気持ちがいいなと思った環境を数少ない宝もののひとつであるコダックのプロジェクターを使って、カチャカチャと見せている。いつももうこんなのという気持ちがもたげて来るのだけれど、若い人たちに感想を書いてもらうと、彼らはあからさまに顔には表さないのだけれど、多くが、こんな風景が、こんな気持ちのいい世界があるのですね、そんなことを書いてくれる。そんなメモを読み返していると、必死で見逃すまいとファインダを覗き込んでいた過去の自分がよみがえってくる。打ち震えるほどの気持ちで撮っていたのだけれど、なんだかそんな気持ちも少し萎えてきていることに気がついて、そんなこといかんいかんと思う。ころんでも、ひっくり返っても、世界には、やっぱりいいなぁと思うようなことがいっぱいあるし、だから、僕にできることは、こんな世界があるんだからと、伝え続けることなんだろうな、そしたら、彼らはそうか、そうなんだなぁと、元気になってくれるかもしれない。また、やっぱり重い一眼レフをかついで、まちからまちへとほっつき歩かないとだ。それくらいしかぼくにできることなどないし、やっぱりそんなことがいちばん好きらしいのだから。
http://www.youtube.com/watch?v=wxiMrvDbq3s&feature=fvwrel